「結夏ー!早くボール取りに行って~~~!!」

私は雪森結夏 中学2年生
体育の時間、今は真夏
白い体操着が濡れてしまうんではないかというほどダラダラ汗が流れる

ーあー!最悪!!汗臭くなっちゃった…

友達にサッカーボールをぶっ飛ばされなぜか私が取りに行くことになったのだが
これがまた遠い遠い
結局グラウンドから物凄いスピードで出て行ったサッカーボールは
生徒玄関の前で見つかった

「こんなとこまで…君はすごいねぇ」

はあはあ言いながらなぜかボールに話しかける
昔から物に話しかける事は好きだったんだ
ただ…こんな私にも苦手なものはある
そう…

男子 

わかってるわかってるのよ、恋愛漫画とかでよくある、あの男子嫌いな女子の話
別に私はそれを狙っているわけじゃない
本当に嫌い大っきらい
大雑把なところも、人の気持ち考えられないところも。

そんなことをふと考えていると面白くなって「ふっ」って笑ってしまった

ーこんなの誰かに見られてたら変人扱いされるとこだった危ない…


「…って何やってるんだろう早く戻…」
くるっと後ろを向いた…その瞬間

ドン!

とんでもない勢いでぶつかってしまった
「あっごめんな…さ…ってうわあああああああああああ」
「よお、何?お前もサボり?」

そこに立っていたのは伊東くんだった、確か陸上部のえっと…

「…」
「ふーんボール取りに来たの」
「……う、ん…」

かっこいいな、これこそがいわゆるイケメンに相応しい人だと思う
高身長で細い黒髪は短くさっぱりカットされていて、すらっと長く細いような体に見えて以外といい体型をしているし オマケに

「ってゆーか、ごめんね、ぶつかったの痛くなかった?」

優しいの。

「うん痛くなかったよ大丈夫…」
「そっか、あと俺お前があんなにおっきい声出したの初めて聞いた」
「…」
う・・・最悪、やめてやめて
「あと物に話しかけるんだな、雪森って以外と面白いやつなんだな」

面白いやつ・・・いい響きには聞こえない

ーやっぱしダメだかっこよくて優しい伊東くんも私には合わない
伊東くんとは話ができても、会話が進まないし気を使われる一方なんだもん




体育の授業が終わり、クラスの女子は一斉にポーチから汗拭きシートを取り出して体を拭き始める
私も、友達の陽菜と一緒に喋りながら汗を拭きに屋上の入口の前の階段に腰をかけた

「結夏は結局ボール取りに行くのに10分程かかってたけどさ、どこにあったの?」

この質問、いろんな人から来たよ…

「えーっとね玄関前だよ、そしたらそこにさー」

伊東が居てね、 そう言おうとしたらなぜか
「言うなよ」
と声が聞こえた、伊東…くん?

「????あれ?えっ?いと…く」
「何?どったの結夏ww暑さでやられたかw」
「え、違…」
たしかにいた、声…聞こえたし
「保健室行く?顔真っ青だよー」
「ちがくて今…」


うわ、お前やっぱり面白い 

そう聞こえて、誰かに腕を掴まれた。
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